EVのネガを覆す最新ボルボのEV
「EVはまだ早い」「充電が不安で長距離は無理」とというのが、「現在のEVの常識」だ。その証拠に、各自動車メーカーは、電動化戦略の修正を余儀なくされている。しかしこれは、「EVは無理だ」とさじを投げたわけではなく、どのメーカーも、「いずれ内燃機関車はEVに取って代わられる」という認識であることは間違いない。それが思っていたよりももう少し先の話だったということだ。そんななかボルボは、冒頭の「EVの現在の常識」を根底から覆しにきた。新型ミッドサイズ電動SUVとなるボルボEX60は、航続距離・充電性能・実用性のすべてでライバルを上まわる性能を備え、EV激戦区に本命モデルを投入してきた。
これまでのボルボのEVラインアップを振り返ると、EX30はコンパクトで価格も現実的なエントリーモデル、EX90は最新技術をこれでもかと詰め込んだフラッグシップSUVという位置づけだった。その一方で、もっとも「売れるゾーン」といえるミッドサイズがぽっかり空いていたのも事実。EX60は、まさにその隙間を埋めるために生まれてきた存在といっていい。
ボディは5シーターのミッドサイズSUV。ファミリー用途をしっかり想定しながら、EVでネックになりがちな航続距離や充電時間への不安を真正面から潰しにきている。AWD仕様では一充電あたり810kmという、クラス最長レベルの航続距離を実現。さらに400kW級の急速充電器を使用すれば、わずか10分で約340km分を回復できるというのだから驚きだ。
数値の上では、東京から広島までを無充電で走り、立ち寄ったサービスエリアで10分間コーヒーブレイクをしている間に、福岡まで走れるだけの電力を充電できる計算になる。もはや「EVだから航続距離や充電時間は我慢するもの」という発想は、過去のものになりつつある。
この余裕の背景にあるのが、ボルボの新世代EVアーキテクチャ「SPA3」と、車両の頭脳となる「HuginCore」だ。セル・トゥ・ボディ構造やメガキャスティングといった最新技術を惜しみなく投入し、効率と軽量化を高次元で両立。
EVに残される課題はコストとインフラ整備
デザインについては、個人的にはもう少し未来感を強めたスタイリングでもよかったのでは、と感じなくもない。しかし、スカンジナビアンデザインらしいクリーンさを保ったフォルムは万人受けしやすく、それでいて存在感も十分。Cd値0.26という優れた空力性能が、航続距離の向上に大きく貢献していることも想像に難くない。
室内はフラットフロアとロングホイールベースの恩恵で、後席もラゲッジも余裕たっぷり。日常使いからレジャーまで、使い勝手のよさに不満はなさそうだ。
インフォテインメント面では、GoogleのAIアシスタント「Gemini」をボルボとして初搭載。決まったコマンドを覚える必要はなく、会話するように操作できる点は、いかにも次世代EVらしい。Bowers & Wilkins製28スピーカーやDolby Atmos対応など、音響面も抜かりない。
その結果、EX30と同等レベルという、ミッドサイズSUVとしては異例ともいえる低いカーボンフットプリントを実現している。
